#005.怒りという感情
わたしはあまり怒らない。
怒りという感情は最大瞬間風速的な勢いと力があるけれど、エネルギーの消費も爪痕も大きいから、怒ることは面倒くさい。
要はコスパが悪いと思う。
プンプンして過ごすことの無駄さや、周囲に与える影響を考えると、怒らなくて済むならその方が良いに決まってる。
10代の頃のわたしは今よりも完璧主義が上回っていて、決まりごと(ルール)に沿って物事が進まないことに対してとても苛立つことが多かった。
“ルールは絶対”だ。
上履きのかかとを踏み潰している不良女子(友達)にもちゃんと履くように言っていたし、部活動でも同期にスカートの丈や制服の着方を注意して歩いたもんだ。
今考えたら、何様だよ(笑)って感じ。
ある日、県のリコーダーコンテストの運営に部員全員で手伝いに行ったことがあった。
当時、わたしは吹奏楽部の副部長をしていて、やはりいつもルールには厳しかったと思う。
お昼の時間になり、コンテストの主催側から、おにぎりの差し入れがあった。1人1セット貰い終わった後に、同期の中でもおちゃらけた3人組(甘党と呼んでいる)が2セット目を勝手に貰っていて、わたしはキレた(笑)
・集団でまとまって行動しなければならない。
・協調性を持たなければならない。
・3年生なんだから、後輩の手本となるように振る舞わなければならない。
・普通に考えて1人1セットで、残りは先生の指示を待ちたかった
というわたしの気持ちとは裏腹に、甘党3人組はいつもおちゃらけていた。
今思えば、わたしも心が狭かったなー……余裕がなかったなー……と思うけれど、中学3年生にそれを求めるのもまた違う気がする。
甘党3人組にキレた後は学校に戻らなくてはならなくて、甘党+わたしでタクシーに乗って帰った。車内ではわたしがずっとプンプンしてて、窓の外をずっと睨みつけていた。
甘党3人組はそんなわたしを気にもかけず、いつもの通りおちゃらけた会話をしている。
ただ、聞こえてくる会話にわたしは笑ってしまいそうで、必死に堪えていた。なぜなら、怒っていることを示さなければならないと思ったから。
だけど、甘党はわたしが笑いを堪えていることに気づいてしまった。そこからはイジられて、結局甘党3人組のペースに持っていかれてしまったという話です(笑)
今でも集まるとそういう話になる。
あの時はプンプンして縛りを押し付けるような子供だったわたしだが、今では立派にマイペース主義になっている。