#004.夜ふかし
夜は静かで暗くてすきだ。
時計の秒針の音。
繁華街の喧騒。
救急車の通過。
突然の土砂降りに雷。
隣の部屋から響く母親のいびき。
向かいの部屋から聞こえる父の寝言。
時間が動いているのか、止まっているのか、
上なのか下なのか……暗闇に放り出されたようなその空間がすきだ。
そして気が付いたら明けている。
昔、誰かが“夜は自己嫌悪で忙しい”と歌っていたのを思い出す。
その曲を聞いていたあの頃に比べたら、自己嫌悪は減ったかもしれない。
そんなことを思う、深夜3時。